はじめに
最近、AIを使えば、ちょっとした業務システムなら驚くほど低コストで作れる時代になってきました。
以前なら、在庫管理や売上分析、予約管理のようなシステムを作ろうと思えば、開発会社へ数百万円から数千万円の予算で依頼するのが当たり前でした。
しかし今は違います。
AIを活用すれば、専任エンジニアではない社内担当者でも、ある程度のシステムを自社主導で形にできる時代になりつつあります。
これは中小企業にとって、かなり大きな変化だと思います。
AIで「作る」ハードルは確実に下がった
例えば、次のような業務システムも、AIを活用しながら少しずつ形にしていくことが可能になってきました。
- 在庫管理システム
- 売上分析ツール
- 社内業務DB
- 問い合わせ管理
特に、「現場の課題はよく分かっている」けれど、「本格的なプログラミング経験はない」という社内SEやIT担当者にとって、AIは非常に強力なパートナーです。
大きな予算をかけず、自社に必要な機能だけを持つシステムを作れる可能性が広がっています。
しかし、意外な壁が現れます
問題は、システムが完成した後です。
実際に運用しようとすると、多くの場合こんな話になります。
これ、外出先からも使いたい。店舗からアクセスしたい。自宅から確認したい。
ここで初めて、別の課題が見えてきます。
それが、作ることより、守ることの方が難しい という現実です。
作るコストは下がっても、守るコストは下がっていない
AIによって、開発コストは確実に下がっています。
しかし、安全に公開して運用するコストは、ほとんど下がっていません。
クラウドへ載せる場合でも、次のような多くのセキュリティ設計が必要になります。
- 認証設計
- ファイアウォール設定
- 脆弱性対策
- アクセス制御
- ログ監視
- バックアップ設計
最近は、MFA(多要素認証)、ゼロトラスト、EDR、クラウド型セキュリティなど優れた仕組みも増えています。
ただ、正直に言えば、小規模事業者にとっては少しオーバースペックな場面もあります。
理想論としては魅力的でも、予算や運用負担まで含めると簡単ではありません。
そこで見直されるオンプレミス
ここで、昔ながらの選択肢が再び見えてきます。
それがオンプレミスです。
オンプレミス(オンプレ)とは、クラウドではなく、自社内にサーバーやシステムを置いて運用する形のことです。
一時期は、「オンプレは古い」と言われることも増えました。
実際、私がご支援する事業者様でも、できるだけクラウドで完結したいというニーズは非常に多いです。
その考え自体は、とても合理的だと思います。
ただ、AI時代になると少し見方が変わるかもしれません。
例えば、次のような用途なら、無理にインターネットへ全面公開しなくてもよいケースがあります。
- 社内限定で使う在庫管理
- 事務所だけで使う業務システム
- 拠点間だけで共有するDB
正直、VPNは面倒です
ここでVPNの話になります。
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に安全な通信経路を作る技術です。
正直に言えば、VPNは決して万能ではありません。
設定も簡単ではありませんし、次のような面倒な部分もあります。
- 機器管理
- ファーム更新
- 脆弱性対応
- 接続トラブル
できれば触りたくない、そう感じる場面もあります。
だからこそ、一時期は「VPNは古い」と言われるようになりました。
その感覚も、私はよく分かります。
それでもVPNが輝く場面がある
それでも、私はVPNが再評価される場面があると思っています。
理由はシンプルです。
AIでローコストに作ったシステムを、さらにローコストで安全に運用できるからです。
例えば、本社、支店、自宅、外出先からアクセスしたい場合でも、VPNを使えば、必要な人だけを安全に社内へ入れる ことができます。
全面公開しなくていい。高額なクラウドセキュリティを最初から導入しなくてもいい。既存設備を活かせる場合もある。
派手さはありませんが、現実的で、きちんと安全に使えること。
この価値は、今も変わらないと思っています。
まとめ
AIによって、システム開発の民主化は確実に進んでいます。
これからは、専任エンジニアではない社内担当者が、AIを活用して業務システムを構築する場面も増えていくでしょう。
その時の課題は、作ることではなく、守ることになるかもしれません。
VPNは古い技術と言われることがあります。
しかし私は、AI時代だからこそ、VPNが役割を変えて再び輝く場面が増えるのではないかと感じています。
これはまだ未来の話かもしれません。
ですが、こうした視点でITの未来を考えてみるのも、面白いのではないでしょうか。